どうして生地には水通しが必要?

どうして生地には水通しが必要?

こんにちは、「美人服洋裁師」の山﨑ゆきこです。着る人を美人に見せる「美人服」を作る洋裁師として、型紙ショップ洋裁サロンを運営しています。

こちらのブログでは、一級技能士が、洋裁に役立つ情報や簡単レシピをご紹介しています。

洋裁教室に来られるお客様には、2度目のご来店時に材料を用意していただくのですが、その時に必ず質問される「生地の水通し」ついて、今回は詳しくご紹介します。

「まっすぐカットしたのに、柄がずれた!」

「せっかく作ったのに縮んで着られない!」

そんな経験はありませんか?

洋裁にありがちなこれらのトラブルは、生地を裁断前に水通しをしておけば、解消することができます。

では、どうして買ったばかりのきれいな布を、わざわざ水に通さなくてはいけないのでしょうか?

 


水通しとは 

生地の水通しとは、裁断前の下準備として、布を水に浸して乾かし、整えておくことです。

仕上がった後に、ドライクリーニングに出すものは必要ありませんが、家庭で洗濯するものは、生地の段階で水通ししておくことが大切です。

この行程を省くと、仕上がってから縮んだり歪んだりしてしまいます。少し面倒ですが、裁断前に必ず行うようしましょう。

 


水通しの目的

1. 縮み

天然繊維の多くは、水で縮む性質があります。そのため、それらの素材は、裁断の前にあらかじめ縮ませておく必要があります。せっかく作った洋服も、洗濯のたびに縮んでしまってはがっかりです。生地によっては、10%以上縮んでしまうものもあるので、注意しましょう。

 

2. 地直し

縦糸と緯糸をまっすぐにして、地の目を整えます。地の目は洋服作りの大切なポイントです。生地は一見整っているように見えても、実際は大きく歪んでいます。縦糸と横糸が直線になるように整えましょう。

特にチェック柄は、縦横が歪んでいると裁断の時に困ります。直線にカットしたのに、柄がずれているということが頻繁に起こるからです。チェックの縦横が直線になるように、入念に地直ししましょう。

 

3. 色落ち

水に浸すと、色落ちする素材かどうか判別できます。色移りしてはいけないので、複数の生地を一緒に浸けないで、一枚ずつ水に通しましょう。

 


水通しが必要な素材

”家で洗うものは水通し”

洋服小物に関わらず、出来上がった後に、家庭で水洗いするものは、水通しが必要です。

◎水通しが必要

水通しのやり方

  • 綿
  • キュプラ(ベンベルグなど高級裏地に使われます)

 

△家で洗濯する場合のみ必要

水通しのやり方

  • シルク
  • ウール
  • 化学繊維

 シルクとウールは、水洗いが不向きなので、ドライクリーニングが一般的です。例外として、シルクジャージやウールニットなど、水洗いできる素材があります。出来上がったものを、家で洗濯する場合は、裁断前に水通ししておきましょう。

化学繊維には様々な混紡素材があります。性質も様々ですので、購入する際に、水洗いできるかどうか必ず確認しましょう。レーヨンは水洗い厳禁です。

 


水通しのやり方

生地の耳が吊れてしまうことがあります。厳密な柄合わせの必要なチェック柄などは、耳をあらかじめカットしておいた方がベターです。

step 1 水に浸ける

生地を畳んで、たっぷりの水に2〜3時間浸します。色落ちする場合があるので、一枚ずつ浸けましょう。

 

step 2 干す

水が滴り落ちない程度に軽く絞ります。雑巾のように絞ってしまうと、地の目が崩れます。手で軽く押さえて脱水しましょう。洗濯機を使うなら、脱水コース30秒程度。

脱水したら生地を広げて縦横を整え、物干で陰干しします。

 

step 3 アイロン

生地は乾ききっていても構いませんが、半乾きの状態がベストです。

ポイントは、アイロンを動かす方向です。上下、左右だけに動かし、斜めには動かしません。斜めに伸ばすと、せっかく整った縦糸横糸が乱れてしまうからです。糸がきちんと直線になるように、上下左右にアイロンを掛けましょう。

 


まとめ

買ったばかりの生地は、きちんとプレスが掛かっていて、一見地の目が整っているように見えます。しかし、実際は大きく歪んでいるので、そのままでは使えません。

思い立ったらさっさと裁断してしまいたくなりますが、そこはグッと堪えて水通しから。水通しは大切な行程なので、下準備はきちんと行いましょう。

買ってきたら、しまう前にまず水通しをしておくのも良いかもしれません。裁断前の水通しを、洋裁の習慣にしてくださいね!

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